外装材として、サイケティングという新しい素材が出てきました。しかし、今でも、モルタル塗りは外装材の王道であることは間違いありません。モルタル塗りの問題点を先ほど指摘しましたが、実は最大の問題は、「現場で調合し、練って使用」することから、施工品質の問題が大きく絡んでくることです。
外装材のモルタルなど湿式建材の施工をする職人さんたちを日本では左官屋さんと呼びますが、その「左官」と名付けられた由緒ある歴史もあるせいか、左官屋さんは誇りを持って仕事をしている人が多く、また仕事上で腕を競い合う風潮が特に強く、その結果、施工品質も守られてきたのです。しかし、左官工事は、現場での作業比率が高く、きつい仕事でもあるためか、後継者問題を抱えています。また、昨今の建設コスト削減でも、最も影響を受けやすい職種でもあり、いろいろな意味で厳しい時代になっているようです。
外装材としてサイディングが採用された住宅で左官屋さんの仕事といえば、和室の入洛塗りがあれば良い方で、多くはビニール等クロス仕上げとなり、残るは基礎コンクリートの化粧程度の仕事しかない場合もあります。しかし、モルタル塗りには明るい未来があると言われています。それはなぜかと言うと、モルタル塗りに代表される湿式建材には現場塗り独特の味があるからなのです。やはり、湿式の外装材の方が見た目的にも美しく、人に優しい印象を与えるのです。
外装材としてもモルタルには表情に温もりがあり、コテさばきで多種多様な表現もできます。江戸時代末期、日本を訪れた欧米の人々が江戸の町を見て、「世界でも類のない整然として美しい町並みの都市」と感嘆したという記録が残っていますが、その主役は瓦と漆喰など左官屋さんにかかわる外壁、塀だったのです。
外装材にも、21世紀に入って人々が「癒やし」「優しさ」「暖かみ」などを求めるようになってきたことが事実です。そんな中で左官屋さんがコテを自らの手で持ち、見事なコテさばきで継ぎ目なしの温かみのある面を作るのです。外装材、外壁とは町並みを作る根本的なものです。暖かみある町並みを作るためにも、サイティングなどの新しい外装材が広まっている今、モルタルなどの湿式の外装材はより一層見直すべき外装材だと思っています。